古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4232番

雪の島 巖に殖ゑたる

蒲生娘子(かもうのおとめ)

同じ宴で、遊行女婦の蒲生娘子が詠んだ歌。雪の島の岩に植えたなでしこは、千年も咲き続けてほしい、あなたの髪飾りとしてという歌。

雪の岩山に飾られたなでしこを手に取る女

題詞遊行女婦蒲生娘子の歌一首

  1. 1雪ゆき雪ゆきゆきののの島しま島しましま雪島
  2. 2巖いはほ巖いはほいわおににに殖う殖ううゑゑえたるたるたる巖爾殖有
  3. 3瞿麥なでしこ瞿麥なでしこなでしこははは奈泥之故波
  4. 4千世ちよ千世ちよちよににに咲さ咲ささかかかぬぬぬかかか千世爾開奴可
  5. 5君きみ君きみきみががが插頭かざし插頭かざしかざしににに君之插頭爾

引用の仕方

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現代語訳

雪の島の岩に植えたなでしこは、千年も咲き続けないものか。あなたの髪飾りとして。

意訳

広縄の歌を受けて、造花のなでしこが主人の髪飾りとして千年も咲いてほしいと、主人の長寿を祝った歌である。

語釈・文法注

文法・本文

雪の島
雪で作った庭の築山。
咲かぬか
咲かないものか、咲いてほしい。
插頭
「かざし」。髪飾り。

和歌

作者
蒲生娘子(生没年未詳(八世紀中頃))
越中国の遊行女婦(宴席で歌を詠む女性)。巻十九に、国司たちの宴で詠んだ雪の歌を残す。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4232番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
天平勝宝3年正月3日、越中介内蔵縄麻呂の館の宴で、遊行女婦蒲生娘子が詠んだ歌。

修辞

ことほぎ
主人の長寿を祝う。

解説

遊行女婦は、宴席に侍って歌を詠む女性。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、695頁(コマ140)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、820頁(コマ174)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日