万葉集 巻第十九 4222〜4223番
この時雨 いたくな降りそ
天平勝宝2年9月3日の宴の歌二首。この時雨よひどく降らないでくれ、妻に見せるために紅葉を手折ろうという久米広縄の歌と、奈良の人に見せようとあなたが目印をつけた紅葉は地に散ったりしようかという大伴家持の歌。
場面イラスト(準備中)
題詞九月三日宴の歌二首
現代語訳
〔4222〕この時雨よ、ひどく降らないでおくれ。妻に見せるために、紅葉を手折ってこよう。
〔4223〕(あをによし)奈良の人に見せようと、あなたが目印をつけておいた紅葉は、地に散ったりするだろうか。
意訳
秋の宴で、都の妻への土産に紅葉を手折りたいという広縄に、家持がその紅葉は散ったりしないと応じた贈答である。広縄は近く上京することになっていたと見られる。
語釈・文法注
文法・本文
- いたくな降りそ
- ひどく降らないでくれ。
- 採りてむ
- 手折ってこよう。
- 標めけむ
- 「しめけむ」。目印をつけたであろう。
和歌
- 作者
- 作者未詳
- 出典
- 『万葉集』巻第十九・部立なし・4222〜4223番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 天平勝宝2年9月3日、越中国府での宴の歌。
修辞
- 贈答
- 4223番が4222番の紅葉を受けて答える。
解説
久米広縄は翌年、朝集使として上京している。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、693頁(コマ139)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、818頁(コマ173)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日