古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4203番

家に行きて 何を語らむ

久米広縄(くめのひろつな)

天平勝宝2年4月12日、布勢の水海の遊覧で、久米広縄がほととぎすの鳴かないのを恨んで詠んだ歌。家に帰って何を語ろうか、山ほととぎすよ、ひと声だけでも鳴けという歌。

山の木立に向かって、ほととぎすの声を待つ

題詞霍公鳥の喧かざるを恨むる歌一首

  1. 1家いへ家いへいえににに行ゆ行ゆゆきききててて家爾去而
  2. 2何なに何なになにををを語かた語かたかたらららむむん奈爾乎將語
  3. 3あしひきあしひきあしひきののの安之比奇能
  4. 4山やま山やまやまほととぎすほととぎすほととぎす山霍公鳥
  5. 5一ひと一ひとひと音こゑ音こゑこえももも鳴な鳴ななけけけ一音毛奈家

引用の仕方

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現代語訳

家に帰って、何を語ろうか。(あしひきの)山ほととぎすよ、せめてひと声でも鳴いておくれ。

意訳

遊覧の土産話にほととぎすの声を聞かせたいのに鳴かないので、せめてひと声と願った歌である。

語釈・文法注

文法・本文

一音
「ひとこゑ」。ひと声。

和歌

作者
久米広縄(生没年未詳(八世紀中頃))
越中掾として国守の大伴家持に仕え、大伴池主のあとを受けて家持と歌を交わした。巻十八・十九に歌が多い。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4203番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝2年4月12日、布勢の水海の遊覧での久米広縄の歌。

修辞

呼びかけ
ほととぎすに鳴けと呼びかける。

解説

久米広縄は越中掾で、家持とたびたび歌を交わした。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、688頁(コマ137)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、812頁(コマ170)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日