万葉集 巻第十七 3909〜3910番
橘は 常花にもが
天平13年4月2日、大伴書持が奈良の家から兄家持に贈った、ほととぎすを詠む歌二首。橘がいつまでも咲く花であればよい、ほととぎすが住もうと来て鳴けば聞かない日はないだろうという歌と、玉に貫く楝を家に植えたら、山ほととぎすが離れずに来るだろうかという歌。
場面イラスト(準備中)
題詞霍公鳥を詠める歌二首
現代語訳
〔3909〕橘はいつも咲いている花であればよいのに。ほととぎすが住もうとして来て鳴くならば、その声を聞かない日はないだろう。
〔3910〕玉として緒に貫く楝を家に植えたならば、山ほととぎすが離れずにやって来るだろうか。
意訳
家持の弟書持が、奈良の家から恭仁京にいる兄に贈った歌で、ほととぎすが来て鳴く橘や楝に寄せて、兄を慕う心を表す。
語釈・文法注
文法・本文
- 常花
- 「とこはな」。いつも咲いている花。
- 楝
- 「あふち」。せんだん。薬玉に貫いた。
- 離れず
- 「かれず」。離れずに。
和歌
- 作者
- 大伴書持(?–746)
大伴旅人の子で、家持の弟。若くして亡くなった。 - 出典
- 『万葉集』巻第十七・部立なし・3909〜3910番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 天平13年4月2日、大伴書持が兄家持に贈った歌。
修辞
- 願望
- ほととぎすがいつも来て鳴くことを願う。
解説
大伴書持は家持の弟で、天平18年に若くして亡くなった。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、610頁(コマ98)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、715頁(コマ121)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日