万葉集 巻第十六 3855〜3856番
葛莢に 延ひおほどれる
高宮王が数種の物を詠みこんだ歌二首。さいかちに這いからみついている屎葛のように、絶えることなく宮仕えしようという歌と、婆羅門の作った小田を食む烏が、まぶたを腫らして幡竿に止まっているという歌。
場面イラスト(準備中)
題詞高宮王の數種の物を詠める歌二首
現代語訳
〔3855〕さいかちに這いからみついている屎葛のように、絶えることなく宮仕えをしよう。
〔3856〕婆羅門の作った小田の稲を食む烏が、まぶたを腫らして、幡竿に止まっている。
意訳
高宮王が数種の物の名を詠みこんだ歌である。さいかちにからみつく屎葛のように絶えず宮仕えをしようという歌と、婆羅門僧の田を荒らした烏がまぶたを腫らして幡竿に止まっている様子を詠む歌で、仏教にちなむ物を取り合わせている。
語釈・文法注
文法・本文
- 葛莢
- 「さうけふ」。さいかちの木。
- おほどれる
- からみついている。
- 屎葛
- 「くそかづら」。へくそかずら。
- 婆羅門
- 「ばらもん」。インドの僧、天平8年に来朝した菩提僊那を指すか。
- 幡幢
- 「はたほこ」。寺の幡を掛ける竿。
和歌
- 作者
- 高宮王(生没年未詳)
伝未詳。巻十六に、いくつもの物の名を一首に詠み込んだ歌二首を残す。 - 出典
- 『万葉集』巻第十六・雑歌・3855〜3856番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 作者未詳(時代を問わない)
- 状況
- 高宮王が数種の物を詠みこんだ歌。
修辞
- 物名
- 物の名を詠みこむ。
解説
3856番の婆羅門は、東大寺大仏開眼の導師を務めたインド僧菩提僊那を指すとする説がある。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、596頁(コマ91)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、699頁(コマ113)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日