古典ライブラリー

万葉集 巻第十六 3852番

鯨魚取り 海や死する

作者未詳

海は死ぬだろうか、山は死ぬだろうか、死ぬからこそ海は潮が干、山は枯れるのだという、無常を詠んだ歌。

潮の引いた海と、枯れた山が広がっている

題詞(世間の無常を厭ふ歌)

  1. 1鯨魚いさな鯨魚いさないさな取と取ととりりり鯨魚取
  2. 2海うみ海うみうみややや死しに死しにしにするするする海哉死爲流
  3. 3山やま山やまやまややや死しに死しにしにするするする山哉死爲流
  4. 4死し死ししぬれぬれぬれこそこそこそ死許曾
  5. 5海うみ海うみうみははは潮しほ潮しほしお干ひ干ひひててて海者潮干而
  6. 6山やま山やまやまははは枯か枯かかれれれすれすれすれ山者枯爲禮

引用の仕方

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現代語訳

(鯨魚取り)海は死ぬだろうか。山は死ぬだろうか。死ぬからこそ、海は潮が干て、山は枯れるのだ。

意訳

不変に見える海や山さえも死に、潮が干、草木が枯れると詠んで、すべてのものの無常を説く歌である。結びの句が二つに分かれ、六句からなる。

語釈・文法注

文法・本文

鯨魚取り
「いさなとり」。「海」にかかる枕詞。
死にする
死ぬ。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十六・雑歌・3852番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
作者未詳の歌。

修辞

問答
自ら問い、自ら答える形をとる。

解説

3852番は、仏教の無常観を素朴な問答の形で表している。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、595頁(コマ90)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、698頁(コマ113)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日