古典ライブラリー

万葉集 巻第十四 3577番

愛し妹を 何處行かめと

作者未詳

東歌でただ一首の挽歌。いとしい妻がどこへ行くものかと油断して、山菅のように背を向けて寝たことが、今になって悔しいという歌。

山菅の茂る野に、男がひとり立ちつくしている

題詞東歌(挽歌)

  1. 1愛かな愛かなかなししし妹いも妹いもいもををを可奈思伊毛乎
  2. 2何處いづち何處いづちいずち行ゆ行ゆゆかかかめめめととと伊都知由可米等
  3. 3山やま山やまやま菅すげ菅すげすげののの夜麻須氣乃
  4. 4背向そがひ背向そがひそがいににに宿ね宿ねねしくしくしく曾我比爾宿思久
  5. 5今いま今いまいまししし悔くや悔くやくやしししももも伊麻之久夜思母

引用の仕方

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現代語訳

いとしい妻がどこへ行くものかと思って、山菅の葉のように背を向けて寝たことが、今となっては悔しいことだ。

意訳

巻第十四の最後の歌で、東歌でただ一首の挽歌である。いつまでもそばにいると油断して背を向けて寝たこともあった妻を失い、今になってそれが悔やまれると嘆く。左注には、これまでの歌は国土山川の名をまだ確かめられないとある。

語釈・文法注

文法・本文

何處行かめと
「いづちゆかめと」。どこへ行くものかと。
山菅の
「背向」にかかる枕詞。山菅の葉が反り返ることから。
背向に宿しく
「そがひにねしく」。背を向けて寝たこと。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十四・挽歌・3577番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
東歌の挽歌。作者未詳。国名未詳。

修辞

枕詞
「山菅の」。

解説

3577番は、巻第七の挽歌(1412番)と同じく、生前の些細な行き違いを悔やむ挽歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、548頁(コマ67)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、639頁(コマ83)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日