古典ライブラリー

万葉集 巻第十四 3565〜3566番

彼の兒ろと 宿ずやなりなむ

作者未詳

国名未詳の東歌の相聞の終わりの二首。あの子と共寝をしないまま終わるのか、裏野の山に月が傾いていくという歌と、いとしい人に恋い死にしたら、わけも知らずに人は誰かのせいにするだろうという歌。

夜更けの山の端に、月が傾いている

題詞東歌(相聞)

  1. 1彼か彼かかののの兒こ兒こころろろととと可能古呂等3565
  2. 2宿ね宿ねねずずずやややなりなりなりなむなむなん宿受夜奈里奈牟
  3. 3はたはたはた薄すすき薄すすきすすき波太須酒伎
  4. 4裏野うらの裏野うらのうらのののの山やま山やまやまににに宇良野乃夜麻爾
  5. 5月つく月つくつく片かた片かたかた寄よ寄よよるるるももも都久可多與留母
  6. 6吾わぎ吾わぎわぎ妹も妹もも子こ子ここににに和伎毛古爾3566
  7. 7我あ我ああががが戀こ戀ここひひい死し死ししなななばばば安我古非思奈婆
  8. 8そわへそわへそわえかもかもかも曾和敝可毛
  9. 9かめかめかめににに負おほ負おほおおせせせむむん加米爾於保世牟
  10. 10心こころ心こころこころ知し知ししらららずずずててて己許呂思良受氏

引用の仕方

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現代語訳

〔3565〕あの子と共寝をしないままになってしまうのだろうか。(はた薄)裏野の山に、月が傾いていくことよ。

〔3566〕いとしい人に恋い焦がれて私が死んだならば、人はあれこれとそれを誰かのせいにするだろうか。本当の心も知らずに。

意訳

国名の分からない東歌の相聞の終わりの二首である。恋人と共寝しないまま夜が更けて月が傾くのを嘆く歌と、恋い死にしても人は本当の心を知らずに誰かのせいにするだろうという歌である。

語釈・文法注

文法・本文

宿ずやなりなむ
共寝をしないままになってしまうのか。
はた薄
「裏野」にかかる枕詞。
月片寄るも
月が傾いていく。
そわへかも
語義未詳。
かめに負せむ
語義未詳。誰かのせいにする、の意か。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十四・相聞・3565〜3566番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
東歌の相聞。作者未詳。国名未詳。

修辞

枕詞
3565番の「はた薄」。

解説

3566番は語義未詳の語を含む難解歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、546頁(コマ66)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、638頁(コマ83)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日