万葉集 巻第十二 3219〜3220番
豐國の 企救の長濱
豊国の企救の長浜を歩き暮らして日が暮れたので、妹を思う、と男が言う。企救の高浜のように首を長くして君を待つ夜は更けてしまった、と女が答える。問答の歌。巻第十二の終わり。
場面イラスト(準備中)
題詞(問答)
現代語訳
〔3219〕豊国の企救の長浜を一日歩き続けて、日が暮れてしまったので、いとしい人のことを思う。
〔3220〕(とよ国の)企救の高浜の名のように、首を長くしてあなたを待つ夜は、すっかり更けてしまったことだ。
意訳
問答の歌で、巻第十二の結びである。企救の長浜を歩き暮らして日が暮れると妻が恋しいという旅の男に、企救の高浜の名のように首を長くして待つうちに夜が更けたと女が答える。
語釈・文法注
文法・本文
- 企救
- 「きく」。豊前の地名。
- 行き暮らし
- 歩いて一日を過ごし。
- 高高に
- 首を長くして待ち望むさま。
- 夜らは
- 夜は。「ら」は接尾語。
和歌
- 作者
- 作者未詳
- 出典
- 『万葉集』巻第十二・相聞・3219〜3220番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 作者未詳(時代を問わない)
- 状況
- 問答。作者未詳。
修辞
- 問答
- 「企救の長濱」「企救の高濱」を対応させる。
- 序詞
- 3220番の上二句が「高高」を導く。
解説
巻第十二は人麻呂歌集の歌に始まり、作者未詳の正述心緒・寄物陳思・問答・羈旅発思・悲別歌・問答で終わる、巻第十一と対をなす恋の歌の巻である。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、493頁(コマ39)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、570頁(コマ49)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日