古典ライブラリー

万葉集 巻第十二 3213〜3214番

十月 時雨の雨に

作者未詳

十月の時雨に濡れながら君は行くのだろうか、宿を借りるのだろうか、と女が問う。十月の雨が絶え間なく降ったら、誰の里で宿を借りようか、と男が答える。問答の歌。

時雨の中を、旅の男が濡れながら行く

題詞(問答)

  1. 1十月かみなづき十月かみなづきかみなづき十月3213 問
  2. 2時雨しぐれ時雨しぐれしぐれののの雨あめ雨あめあめににに鍾禮乃雨丹
  3. 3ぬれぬれぬれつつつつつつややや沾乍哉
  4. 4君きみ君きみきみががが行ゆ行ゆゆくくくらむらむらん君之行疑
  5. 5宿やど宿やどやどかかか借か借かかるるるらむらむらん宿可借疑
  6. 6かみなづきかみなづきかみなづき十月3214 答
  7. 7雨あま雨あまあま間ま間ままもももおかおかおかずずず雨間毛不置
  8. 8零ふ零ふふりりりにににせせせばばば零爾西者
  9. 9誰た誰たたががが里さと里さとさとののの間ま間ままににに誰里之間
  10. 10宿やど宿やどやどかかか借か借かからららましましまし宿可借益

引用の仕方

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現代語訳

〔3213〕十月の時雨の雨に濡れながら、あなたは行くのだろうか。それとも宿を借りているのだろうか。

〔3214〕十月の雨が晴れ間もなく降ったなら、誰の里のあたりで宿を借りようか。

意訳

問答の歌である。時雨の中を濡れながら旅を続けているのか、どこかで宿を借りているのかと夫を案じる妻に、雨が降り続いたら誰の里で宿を借りようかと夫が答える。

語釈・文法注

文法・本文

十月
「かみなづき」。陰暦十月。
時雨
「しぐれ」。晩秋から初冬の通り雨。白文は「鍾禮」と書く。
雨間
「あまま」。雨の晴れ間。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十二・相聞・3213〜3214番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
問答。作者未詳。

修辞

問答
「十月」「宿か借る」を受けて答える。

解説

3214番は、宿を借りる当てもない旅の心細さを、妻の問いを受けて詠んでいる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、492頁(コマ39)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、569頁(コマ48)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日