万葉集 巻第十二 3209〜3210番
春日なる 三笠の山に
春日の三笠の山にかかる雲を出て見るたびに、君を思う。片山の雉が飛び立つように旅立つ君に後に残されて、正気でいられようか。悲別歌の終わりの二首。
場面イラスト(準備中)
題詞(別を悲しめる歌)
現代語訳
〔3209〕春日にある三笠の山にかかっている雲を、出て見るたびに、あなたのことを思う。
〔3210〕(あしひきの)片山の雉が飛び立つように旅立って行くあなたに後に残されて、正気でいられようか。
意訳
悲別歌の結びである。三笠山の雲を見るたびに旅立った恋人を思う歌と、雉が飛び立つように旅立つ恋人に残されて正気ではいられないという歌である。
語釈・文法注
文法・本文
- ゐる雲
- かかっている雲。
- 片山雉
- 「かたやまきぎし」。片山の雉。「立ち」を導く。
- 顯しけめやも
- 「うつしけめやも」。正気でいられようか。白文は「打四鷄目八方」と書く。
和歌
- 作者
- 作者未詳
- 出典
- 『万葉集』巻第十二・相聞・3209〜3210番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 作者未詳(時代を問わない)
- 状況
- 悲別歌。作者未詳。
修辞
- 序詞
- 3210番の上二句が「立ち」を導く。
解説
3209番は、恋人のいる方角の山にかかる雲に恋人を偲ぶ、万葉集に多い発想の歌である。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、492頁(コマ39)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、569頁(コマ48)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日