古典ライブラリー

万葉集 巻第十二 3121〜3122番

わが背子が 使を待つと

作者未詳

背子の使いを待って笠もかぶらずに何度も出て見た、雨が降っているのに、と言えば、心ない雨だ、人目を忍んでなかなか逢えない妹に今日こそ逢おうと思ったのに、と答える。問答の歌。

雨の中、女が笠もかぶらずに恋人の使いを待っている

題詞(問答)

  1. 1わわわががが背せ背せせ子こ子ここががが吾勢子之3121 問
  2. 2使つかひ使つかひつかいををを待ま待ままつつつととと使乎待跡
  3. 3笠かさ笠かさかさももも著き著ききずずず笠不著
  4. 4出い出いいでででつつつつつつぞぞぞ見み見みみししし出乍曾見之
  5. 5雨あめ雨あめあめののの零ふ零ふふらららくくくににに雨零爾
  6. 6心こころ心こころこころなきなきなき無心3122 答
  7. 7雨あめ雨あめあめにににもももあるあるあるかかか雨爾毛有鹿
  8. 8人ひと人ひとひと目め目めめ守も守ももりりり人目守
  9. 9乏とも乏ともともしきしきしき妹いも妹いもいもににに乏妹爾
  10. 10今日けふ今日けふきょうだにだにだに逢あ逢ああははわむむんををを今日谷相乎

引用の仕方

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現代語訳

〔3121〕あの人の使いを待つとて、笠もかぶらずに何度も出て見たことだ。雨が降っているのに。

〔3122〕心ない雨であることよ。人目を忍んでなかなか逢えないいとしい人に、せめて今日だけでも逢おうと思ったのに。

意訳

問答の歌である。雨の中を笠もかぶらずに恋人の使いを待った女に、男は、雨のせいで今日こそ逢おうと思ったのに行けなかったと、心ない雨を恨んで答える。

語釈・文法注

文法・本文

零らくに
降っているのに。
人目守り
人目のすきをうかがって。
乏しき
「ともしき」。なかなか逢えない、心ひかれる。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十二・相聞・3121〜3122番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
問答。作者未詳。

修辞

問答
雨を共通の題材にしたやりとり。

解説

3121〜3126番は雨を題材にした問答が続き、雨の日の逢瀬をめぐる男女の心が描かれる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、486頁(コマ36)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、561頁(コマ44)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日