古典ライブラリー

万葉集 巻第十二 3119〜3120番

明日よりは 戀ひつつ在らむ

作者未詳

明日からは恋い続けることになる、今夜だけでも早く宵のうちから紐を解いておくれ、と男が言う。今さら寝られようか、あなた、毎夜欠かさず夢に見えてください、と女が答える。問答の歌。

旅立ちの前夜、男女が名残を惜しんでいる

題詞(問答)

  1. 1明日あす明日あすあすよりよりよりははは從明日者3119 問
  2. 2戀こ戀ここひひいつつつつつつ在あ在ああらららむむん戀乍將在
  3. 3今こ今ここ夕よひ夕よひよいだにだにだに今夕彈
  4. 4速はや速はやはやくくく初夜よひ初夜よひよいよりよりより速初夜從
  5. 5紐ひも紐ひもひも解と解ととけけけ我わぎ我わぎわぎ妹も妹もも綏解我妹
  6. 6今いま今いまいま更さら更さらさらににに今更3120 答
  7. 7寢ね寢ねねめめめややや我わが我わがわが背せ背せせ子こ子ここ將寢哉我背子
  8. 8新あらた新あらたあらた夜よ夜よよののの荒田夜之
  9. 9全また全またまた夜よ夜よよもももおちおちおちずずず全夜毛不落
  10. 10夢いめ夢いめいめににに見み見みみえええこそこそこそ夢所見欲

引用の仕方

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現代語訳

〔3119〕明日からは恋い続けることになるだろう。せめて今夜だけでも、早く宵のうちから紐を解いておくれ、いとしい人よ。

〔3120〕今さら共寝などできましょうか、あなた。これから来る毎夜、一夜も欠かさず夢に見えてください。

意訳

問答の歌で、別れを前にしたやりとりである。明日から離れるのだから今夜は早くから共寝しようという男に、女は、今さら寝られようか、それより毎夜欠かさず夢に現れてほしいと答える。

語釈・文法注

文法・本文

今夕だに
今夜だけでも。
初夜
「よひ」。宵。
新夜
「あらたよ」。新しく来る夜、毎夜。
全夜もおちず
「またよもおちず」。一夜も欠かさず。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十二・相聞・3119〜3120番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
問答。作者未詳。

修辞

問答
別れを前にした男女のやりとり。

解説

3120番は、別れの悲しみで今さら共寝などできないという女の心を、毎夜の夢への願いに託している。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、485頁(コマ35)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、560頁(コマ44)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日