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万葉集 巻第十二 3117〜3118番

門閉てて 戸も閉したるを

作者未詳

門を閉め戸も閉ざしてあったのに、どこから妹は入って来て夢に見えたのか、と問う。門を閉め戸は閉ざしたけれど、盗人の掘った穴から入って見えたのでしょう、と答える。問答の歌。

戸締まりをした家の中で、男が夢に恋人を見ている

題詞(問答)

  1. 1門かど門かどかど閉た閉たたてててててて門立而3117 問
  2. 2戸と戸ととももも閉さ閉ささしししたるたるたるををを戸毛閉而有乎
  3. 3何處いづく何處いづくいずくゆゆゆかかか何處從鹿
  4. 4妹いも妹いもいもががが入い入いいりりり來き來ききててて妹之入來而
  5. 5夢いめ夢いめいめににに見み見みみえええつるつるつる夢所見鶴
  6. 6門かど門かどかど閉た閉たたてててててて門立而3118 答
  7. 7戸と戸ととははは閉さ閉ささしししたれたれたれどどど戸者雖闔
  8. 8盗ぬす盗ぬすぬす人びと人びとびとののの盜人之
  9. 9穿ほ穿ほほれれれるるる穴あな穴あなあなよりよりより穿穴從
  10. 10入い入いいりりりててて見み見みみえええけむけむけん入而所見牟

引用の仕方

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現代語訳

〔3117〕門を閉め、戸も閉ざしておいたのに、どこからいとしい人は入って来て、夢に見えたのだろう。

〔3118〕門を閉め、戸は閉ざしたけれど、盗人が掘った穴から入って、夢に見えたのでしょう。

意訳

問答の歌である。戸締まりをしてあったのに、どこから入って夢に現れたのかと問う男に、女は、盗人が掘った穴から入ったのでしょうと、機知を利かせて答える。ユーモラスな問答である。

語釈・文法注

文法・本文

閉てて
「たてて」。閉めて。
何處ゆか
「いづくゆか」。どこから。
穿れる
「ほれる」。掘った。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十二・相聞・3117〜3118番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
問答。作者未詳。

修辞

問答
「門閉てて戸」を同じ句で受けて答える。
機知
3118番は盗人の穴を持ち出す。

解説

3117・3118番は、夢に現れる恋人を、戸締まりと盗人の穴にかけて戯れる、ユーモアに富んだ問答である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、485頁(コマ35)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、560頁(コマ44)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日