古典ライブラリー

万葉集 巻第十二 3111〜3112番

すべもなき 片戀をすと

作者未詳

どうしようもない片恋をして、この頃私が死にそうなのは夢に見えたか、と問う。夢に見て衣を取って着て身支度するうちに、妹の使いが先に来た、と答える。問答の歌。

夢に恋人を見た男が、急いで身支度をしている

題詞(問答)

  1. 1すべすべすべもももなきなきなき爲便毛無3111 問
  2. 2片かた片かたかた戀こひ戀こひこいをををすすすととと片戀乎爲登
  3. 3此こ此ここののの頃ごろ頃ごろごろににに比日爾
  4. 4吾わ吾わわががが死し死ししぬぬぬべきべきべきははは吾可死者
  5. 5夢いめ夢いめいめににに見み見みみえええきききややや夢所見哉
  6. 6夢いめ夢いめいめににに見み見みみててて夢見而3112 答
  7. 7衣ころも衣ころもころもををを取と取ととりりり著き著きき衣乎取服
  8. 8裝よそ裝よそよそふふう間ま間ままににに裝束間爾
  9. 9妹いも妹いもいもががが使つかひ使つかひつかいぞぞぞ妹之使曾
  10. 10先さき先さきさきだちだちだちにににけるけるける先爾來

引用の仕方

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現代語訳

〔3111〕どうしようもない片恋をして、この頃私が死にそうになっているのは、夢に見えたか。

〔3112〕夢に見て、衣を取って着て身支度をしている間に、いとしい人の使いが先に来てしまったことだ。

意訳

問答の歌である。片恋に死にそうな自分の姿が夢に見えたかと問う女に、男は、夢に見て急いで身支度をしているうちに、あなたの使いの方が先に着いてしまったと答える。

語釈・文法注

文法・本文

すべもなき
どうしようもない。
著裝ふ
「きよそふ」。着て身支度する。
先だち
先に来る。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十二・相聞・3111〜3112番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
問答。作者未詳。

修辞

問答
「夢に見えきや」を受けて「夢に見て」と答える。

解説

3112番は、夢を見てすぐに駆けつけようとしたという、誠意を示す答えである。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、485頁(コマ35)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、559頁(コマ43)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日