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万葉集 巻第十二 3109〜3110番

慇懃に 思ふ吾妹を

作者未詳

ねんごろに思う妹を、人の噂がうるさいので訪ねずにいるこの頃、と言えば、人の噂がうるさいくらいで、あなたも私も絶えようと言って逢ったのだろうか、と答える。問答の歌。

噂を気にして訪ねずにいる男を、女が問い詰めている

題詞(問答)

  1. 1慇懃ねもころ慇懃ねもころねもころににに慇懃3109 問
  2. 2思おも思おもおもふふう吾わぎ吾わぎわぎ妹も妹ももををを憶吾妹乎
  3. 3人ひと人ひとひと言ごと言ごとごとののの人言之
  4. 4繁しげ繁しげしげきききににによりよりよりててて繁爾因而
  5. 5不通よど不通よどよどむむむ頃ころ頃ころころかもかもかも不通比日可聞
  6. 6人ひと人ひとひと言ごと言ごとごとののの人言之3110 答
  7. 7繁しげ繁しげしげくくくしししあらあらあらばばば繁思有者
  8. 8君きみ君きみきみももも吾われ吾われわれももも君毛吾毛
  9. 9絕た絕たたえええむむんととといひいひいいててて將絕常云而
  10. 10逢あ逢ああひひいしししものものものかもかもかも相之物鴨

引用の仕方

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現代語訳

〔3109〕ねんごろに思ういとしい人なのに、人の噂がうるさいので、訪ねずに途絶えているこの頃であることよ。

〔3110〕人の噂がうるさいのなら、あなたも私も仲が絶えようと言って逢ったのでしょうか。そうではないでしょう。

意訳

問答の歌である。噂がうるさいので訪ねずにいると言い訳する男に、噂がうるさいくらいで別れようと言って逢い始めたわけではないでしょうと、女がきっぱり切り返す。

語釈・文法注

文法・本文

慇懃に
「ねもころに」。ねんごろに。
不通む
「よどむ」。滞る、途絶える。
逢ひしものかも
逢ったのだろうか、いやそうではない。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十二・相聞・3109〜3110番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
問答。作者未詳。

修辞

問答
3110番は「人言の繁き」を受けて切り返す。

解説

3110番は、噂を言い訳にする男の弱さを、女が鋭く突く、気の強い答えの歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、484頁(コマ35)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、559頁(コマ43)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日