古典ライブラリー

万葉集 巻第十二 3107〜3108番

現身の 人目を繁み

作者未詳

人目が多いので逢わずに年が過ぎ、生きた心地もしない、と言えば、人目が多いなら、せめて夜の夢に続けて見えてほしい、と答える。問答の歌。

夜の夢の中で、恋人たちが逢っている

題詞(問答)

  1. 1現身うつせみ現身うつせみうつせみののの空蟬之3107 問
  2. 2人ひと人ひとひと目め目めめををを繁しげ繁しげしげみみみ人目乎繁
  3. 3逢あ逢ああははわずずずしししててて不相而
  4. 4年とし年としとしののの經へ經へへぬれぬれぬればばば年之經者
  5. 5生い生いいけけけりりりともともともなしなしなし生跡毛奈思
  6. 6うつせみうつせみうつせみののの空蟬之3108 答
  7. 7人ひと人ひとひと目め目めめ繁しげ繁しげしげくくくははは人目繁者
  8. 8ぬばたまぬばたまぬばたまののの夜干玉之
  9. 9夜よる夜よるよるののの夢いめ夢いめいめにににををを夜夢乎
  10. 10續つ續つつぎぎぎててて見み見みみえええこそこそこそ次而所見欲

引用の仕方

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現代語訳

〔3107〕(現身の)人目が多いので逢わないまま年が過ぎてしまったので、生きている心地もしない。

〔3108〕(うつせみの)人目が多いのなら、(ぬばたまの)夜の夢にだけでも、続けて見えてください。

意訳

問答の歌である。人目のために逢えず年が過ぎて生きた心地もしないという歌に、それならせめて夢の中で続けて逢いに来てほしいと答える。

語釈・文法注

文法・本文

現身の
「人」にかかる枕詞。
夢にを
夢にだけでも。「を」は強め。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十二・相聞・3107〜3108番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
問答。作者未詳。

修辞

枕詞
「現身の」「うつせみの」「ぬばたまの」。
問答
「人目」を受けて答える。

解説

夢は人目をはばからず逢える唯一の場として、問答の答えにしばしば持ち出される。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、484頁(コマ35)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、559頁(コマ43)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日