万葉集 巻第十 2333〜2334番
零る雪の 空に消ぬべく
降る雪が空で消えるように消え入りそうに恋しく思うが、逢う手立てもなく月が経った。沫雪は千重に降り敷け、恋しく日数を重ねる私は雪を見ながら偲ぼう。冬の相聞の巻頭、人麻呂歌集の歌二首。
場面イラスト(準備中)
題詞冬相聞
現代語訳
〔2333〕降る雪が空で消えてしまうように、消え入りそうなほど恋しく思うけれど、逢う手立てもなくて、月が過ぎてしまった。
〔2334〕沫雪は幾重にも降り敷いておくれ。恋しく思う日々の長い私は、それを見ながら偲ぼう。
意訳
冬の相聞の巻頭に置かれた人麻呂歌集の歌である。空で消える雪のように消え入りそうな恋をしながら、逢えないまま月日が過ぎたと嘆き、幾重にも降り敷く沫雪を見ながら、長く逢えない恋人を偲ぼうと歌う。
語釈・文法注
文法・本文
- 空に消ぬべく
- 空で消えてしまいそうに。
- 日長き
- 「けながき」。日数の長い。
和歌
- 作者
- 作者未詳
- 出典
- 『万葉集』巻第十・相聞・2333〜2334番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
- 状況
- 冬の相聞。柿本人麻呂歌集に出る。
修辞
- 序詞
- 2333番の「零る雪の空に」が「消ぬ」を導く。
解説
降り積もる雪を恋の思いの積もるさまに重ねている。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、420頁(コマ214)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、480頁(コマ246)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日