古典ライブラリー

万葉集 巻第十 1924〜1925番

丈夫が 伏し居嘆きて

作者未詳

ますらおの私が伏したり座ったりして嘆きながら作った枝垂れ柳のかずらを、かぶっておくれ、いとしい人よ。朝帰って行くあなたの姿をよく見ないままで、長い春の日を恋しく思って暮らすのだろうか。かずらを贈る歌と別れを悲しむ歌。

男が枝垂れ柳の枝を編んでかずらを作り、恋人に手渡している

題詞蘰を贈る/別を悲しむ

  1. 1丈夫ますらを丈夫ますらをますらおががが大夫之1924 蘰を贈る
  2. 2伏ふ伏ふふししし居ゐ居ゐい嘆なげ嘆なげなげきききててて伏居嘆而
  3. 3造つく造つくつくりりりたるたるたる造有
  4. 4しだりしだりしだり柳やなぎ柳やなぎやなぎののの四垂柳之
  5. 5蘰かづら蘰かづらかずらせせせ吾わぎ吾わぎわぎ妹も妹もも蘰爲吾妹
  6. 6朝あさ朝あさあさ戸と戸とと出で出ででののの朝戸出之1925 別を悲しむ
  7. 7君きみ君きみきみががが容儀すがた容儀すがたすがたををを君之儀乎
  8. 8よくよくよく見み見みみずずずててて曲不見而
  9. 9長なが長ながながききき春はる春はるはる日ひ日ひひををを長春日乎
  10. 10戀こ戀ここひひいややや暮く暮くくらさらさらさむむん戀八九良三

引用の仕方

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現代語訳

〔1924〕ますらおの私が、伏したり座ったりして嘆きながら作った枝垂れ柳のかずらを、かぶっておくれ、いとしい人よ。

〔1925〕朝早く戸を出て帰って行くあなたの姿を、よく見ないままで、長い春の日を恋しく思って暮らすのだろうか。

意訳

恋の思いに悩みながら、ますらおの自分が手ずから編んだ柳のかずらを恋人に贈る歌と、朝早く帰って行く恋人の姿をよく見届けられなかったので、長い春の一日を恋しく思って過ごすだろうと別れを悲しむ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

伏し居嘆きて
伏したり座ったりして嘆いて。
蘰せ
かずらにしておくれ。
朝戸出
朝、戸を出て帰って行くこと。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十・相聞・1924〜1925番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
かずらを贈る歌と、別れを悲しむ歌。

修辞

呼びかけ
1924番の結句「蘰せ吾妹」。

解説

柳のかずらは長寿や繁栄を祈る飾りで、恋人への贈り物にふさわしい。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、386頁(コマ197)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、439頁(コマ225)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日