古典ライブラリー

万葉集 巻第十 1889番

吾が屋前の 毛桃の下に

作者未詳

わが家の庭の毛桃の木の下に月の光が差し込み、心の中が楽しい。どうしようもなくこの頃は。桃に託して、恋がかないそうな心の喜びを歌った譬喩歌。

月夜の庭で、毛桃の木の下に月の光が差し込んでいる

題詞譬喩歌

  1. 1吾わ吾わわががが屋前には屋前にはにはののの吾屋前之
  2. 2毛け毛けけ桃もも桃ももももののの下した下したしたににに毛桃之下爾
  3. 3月つく月つくつく夜よ夜よよさしさしさし月夜指
  4. 4下した下したした心ごころ心ごころごころ吉よ吉よよししし下心吉
  5. 5うたてうたてうたて此こ此ここののの頃ごろ頃ごろごろ菟楯頃者

引用の仕方

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現代語訳

わが家の庭の毛桃の木の下に月の光が差し込んで、心の中が楽しい。どうしようもなく、この頃は。

意訳

毛桃の木の下に月の光が差すさまに、ひそかな恋が実を結びそうな心の喜びをたとえた歌である。「下」に月が差すことから「下心」を導き、心の奥がうきうきして、この頃はどうにも落ち着かないと歌う。

語釈・文法注

文法・本文

毛桃
「けもも」。実に毛のある桃。
下心
心の奥、内心。
うたて
ますます、どうしようもなく。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十・譬喩歌・1889番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
桃に寄せて恋の喜びを歌った譬喩歌。

修辞

序詞
「吾が屋前の毛桃の下に月夜さし」が「下心」を導く。
譬喩
桃の実を恋の成就にたとえる。

解説

白文の「菟楯」は「うたて」の音を当てた表記である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、383頁(コマ195)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、434頁(コマ223)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日