古典ライブラリー

万葉集 巻第九 1712番

天の原 雲なき夕に

作者未詳

大空に雲のない夕べに、夜空を渡っていく月が沈んでしまうのが惜しい。筑波山に登って月を詠んだ歌。

筑波山の山頂から、雲ひとつない夜空を渡っていく月を眺めている

題詞筑波山に登りて月を詠める一首

  1. 1天あま天あまあまののの原はら原はらはら天原
  2. 2雲くも雲くもくもなきなきなき夕よひ夕よひよいににに雲無夕爾
  3. 3ぬばたまぬばたまぬばたまののの烏玉乃
  4. 4宵よ宵よよ渡わた渡わたわたるるる月つき月つきつきののの宵度月乃
  5. 5入い入いいらららまくまくまく惜を惜ををしししももも入卷恡毛

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

大空に雲のない夕べに、(ぬばたまの)夜を渡っていく月が、沈んでしまうのが惜しいことだ。

意訳

筑波山の頂から見る、雲ひとつない夜空を渡る月の美しさに、沈んでしまうのを惜しんでいる。

語釈・文法注

文法・本文

入らまく
沈むこと。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第九・雑歌・1712番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
状況
筑波山に登って月を詠んだ歌。作者はわからない。

修辞

枕詞
「ぬばたまの」が「宵」にかかる。

解説

筑波山は東国の名山で、巻第九には筑波山の歌が多い。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、350頁(コマ179)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、397頁(コマ204)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日