古典ライブラリー

万葉集 巻第九 1682番

とこしへに 夏冬行けや

作者未詳

いつでも夏と冬とが同時に来ているからか、皮衣を着て扇を手放さない、山に住む仙人は。忍壁皇子に献じた、仙人の絵を詠んだ歌。

山中の仙人が、皮衣をまといながら扇を手にしている絵

題詞忍壁皇子に獻れる歌一首 仙人の形を詠める

  1. 1とこしへとこしへとこしえににに常之陪爾
  2. 2夏なつ夏なつなつ冬ふゆ冬ふゆふゆ行ゆ行ゆゆけけけややや夏冬往哉
  3. 3裘かはごろも裘かはごろもかわごろも裘
  4. 4扇あふぎ扇あふぎおうぎ放はな放はなはなたたたぬぬぬ扇不放
  5. 5山やま山やまやまににに住す住すすむむむ人ひと人ひとひと山住人

引用の仕方

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現代語訳

いつでも夏と冬とが行き来しているからだろうか、皮衣を着て、扇を手放さない、山に住む人は。

意訳

忍壁皇子のもとにあった仙人の絵を見て詠んだ歌である。冬の皮衣を着ているのに夏の扇も手放さない仙人の姿を、季節を超えた不思議な存在としてとらえ、ユーモラスに歌っている。

語釈・文法注

文法・本文

裘
「かはごろも」。皮の衣。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第九・雑歌・1682番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
状況
忍壁皇子に献じた、仙人の姿を詠んだ歌。

解説

奈良時代の貴族の間に、神仙思想や仙人の絵が流行していたことを伝える。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、347頁(コマ177)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、393頁(コマ202)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日