古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1655番

高山の 菅の葉凌ぎ

三国人足(みくにのひとたり)

高い山の菅の葉を押し伏せて降る雪のように、消えてしまうと言おうか、恋のしきりな苦しさに。三国人足の歌。

高い山の菅の葉を雪が押し伏せ、消えかかっている

題詞三國眞人人足の歌一首

  1. 1高たか高たかたか山やま山やまやまののの高山之
  2. 2菅すが菅すがすがののの葉は葉はは凌しの凌しのしのぎぎぎ菅葉之努藝
  3. 3零ふ零ふふるるる雪ゆき雪ゆきゆきののの零雪之
  4. 4消け消けけぬぬぬとととかかか言い言いいははわももも消跡可曰毛
  5. 5戀こひ戀こひこいののの繁しげ繁しげしげけくけくけく戀乃繁鷄鳩

引用の仕方

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現代語訳

高い山の菅の葉を押し伏せて降る雪のように、消えてしまうと言おうか。恋のしきりな苦しさに。

意訳

恋の思いがあまりにしきりで苦しいので、雪が消えるように、もう命が消えてしまいそうだと言おうかと、恋の苦しさを訴えている。冬相聞の部はこの歌から始まる。

語釈・文法注

文法・本文

凌ぎ
押し伏せて。
繁けく
「繁し」のク語法。しきりであること。

和歌

作者
三国人足(生没年未詳)
奈良時代の官人。
出典
『万葉集』巻第八・相聞・1655番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
三国人足の歌。

修辞

序詞
「高山の菅の葉凌ぎ零る雪の」が「消」を導く。

解説

雪の「消ゆ」と命の「消ゆ」を重ねた、相聞の定型的な表現である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、336頁(コマ172)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、380頁(コマ196)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日