古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1653番

今の如 心を常に

県犬養娘子(あがたのいぬかいのおとめ)

今のような心をいつも持っていてくれるなら、真っ先に咲く花のように、地に落ちることがあろうか。県犬養娘子が梅に寄せて思いを述べた歌。

早咲きの梅の花を見上げる女性が、恋人の心変わりを案じている

題詞縣犬養娘子、梅に依せて思を發せる歌一首

  1. 1今いま今いまいまののの如ごと如ごとごと如今
  2. 2心こころ心こころこころををを常つね常つねつねににに心乎常爾
  3. 3おもへおもへおもえらららばばば念有者
  4. 4まづまづまず咲さ咲ささくくく花はな花はなはなののの先咲花乃
  5. 5地つち地つちつちににに落お落おおちちちめめめやもやもやも地爾將落八方

引用の仕方

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現代語訳

今のような心を、いつも思っていてくれるならば、真っ先に咲く花のように、地に落ちることがあろうか。

意訳

真っ先に咲いた梅がすぐ散ってしまうように、恋も初めは熱くてもすぐ冷めてしまうことがある。今の気持ちのままでいてくれるなら、自分は捨てられることはあるまいと、恋人の変わらぬ心を願っている。

語釈・文法注

文法・本文

おもへらば
思っているならば。

和歌

作者
県犬養娘子(生没年未詳)
奈良時代の女性歌人。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1653番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
県犬養娘子が梅に寄せて思いを述べた歌。

修辞

反語
「地に落ちめやも」。

解説

早咲きの梅に、恋の移ろいやすさを重ねている。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、336頁(コマ172)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、379頁(コマ195)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日