古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1608番

秋萩の 上に置きたる

弓削皇子(ゆげのみこ)

秋萩の上に置いた白露のように、消えてしまえばよかったのに。恋い続けているよりは。弓削皇子の歌。

萩の葉の上の白露が朝日に光り、今にも消えそうに揺れている

題詞弓削皇子の御歌一首

  1. 1秋あき秋あきあき萩はぎ萩はぎはぎののの秋芽子之
  2. 2上うへ上うへうえににに置お置おおきききたるたるたる上爾置有
  3. 3白しら白しらしら露つゆ露つゆつゆののの白露乃
  4. 4消け消けけかかかもももしししなななましましまし消可毛思奈萬思
  5. 5戀こ戀ここひひいつつつつつつあらあらあらずずずははは戀管不有者

引用の仕方

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現代語訳

秋萩の上に置いた白露のように、消えてしまえばよかったのに。こうして恋い続けているくらいなら。

意訳

苦しい恋をし続けるくらいなら、萩の上の白露のように消えてしまいたいと、恋の苦しさを訴えている。

語釈・文法注

文法・本文

消かもしなまし
消えてしまえばよかった。
あらずは
…ているよりは。

和歌

作者
弓削皇子(?–699)
天武天皇の皇子。額田王と歌を交わした。
出典
『万葉集』巻第八・相聞・1608番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
状況
弓削皇子の歌。

修辞

序詞
「秋萩の上に置きたる白露の」が「消」を導く。

解説

「…ずは」で恋の苦しさを強調する表現は、万葉集の恋歌に多い。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、329頁(コマ168)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、371頁(コマ191)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日