古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1595番

秋萩の 枝もとををに

大伴像見(おおとものかたみ)

秋萩の枝もたわむほどに置く露のように、消えるなら消えてもよいが、思いを顔色に出すものか。大伴像見の歌。

萩の枝が露の重みでたわみ、露の玉が光っている

題詞大伴宿禰像見の歌一首

  1. 1秋あき秋あきあき萩はぎ萩はぎはぎののの秋芽子乃
  2. 2枝えだ枝えだえだもももとををとををとををににに枝毛十尾二
  3. 3降ふ降ふふるるる露つゆ露つゆつゆののの降露乃
  4. 4消け消けけなななばばば消け消けけぬぬぬともともとも消者雖消
  5. 5色いろ色いろいろににに出い出いいでででめめめやもやもやも色出目八方

引用の仕方

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現代語訳

秋萩の枝もたわむほどに置く露のように、消えるなら消えてしまってもかまわないが、思いを顔色に出したりするものか。

意訳

露が消えるように命が消えてしまうとしても、この恋心を人に悟られるようなことはしないと、秘めた恋への決意を歌っている。

語釈・文法注

文法・本文

とををに
たわむほどに。
降る露
「おくつゆ」と訓む。

和歌

作者
大伴像見(生没年未詳)
大伴氏の一族の官人。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1595番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
大伴像見の歌。

修辞

序詞
「秋萩の枝もとををに降る露の」が「消」を導く。
反語
「色に出でめやも」。

解説

忍ぶ恋の歌として、平安時代の和歌の先駆けとなる表現である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、327頁(コマ167)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、369頁(コマ190)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日