古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1556番

秋田苅る 假廬もいまだ

忌部黒麻呂(いんべのくろまろ)

秋の田を刈る仮小屋もまだ取り壊さないうちに、雁の声が寒々と聞こえる。霜も置きそうなほどに。忌部黒麻呂の歌。

刈り入れの終わった田に仮小屋が残り、寒々とした空を雁が渡っていく

題詞忌部首黑麻呂の歌一首

  1. 1秋あき秋あきあき田た田たた苅か苅かかるるる秋田苅
  2. 2假かり假かりかり廬ほ廬ほほもももいまだいまだいまだ借蘆毛未
  3. 3壞こほ壞こほこおたたたねねねばばば壞者
  4. 4雁かり雁かりかりががが音ね音ねね寒さむ寒さむさむししし鴈鳴寒
  5. 5霜しも霜しもしもももも置お置おおきききぬぬぬがにがにがに霜毛置奴我二

引用の仕方

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現代語訳

秋の田を刈るための仮小屋も、まだ取り壊さないうちに、雁の声が寒々と聞こえる。霜も置きそうなほどに。

意訳

秋の刈り入れのための仮小屋もまだ片づけていないのに、もう雁の声が寒々と響き、霜が降りそうなほど冷えこんできた。秋の深まりの早さを歌っている。

語釈・文法注

文法・本文

壞たねば
「こほたねば」。取り壊さないうちに。
置きぬがに
置いてしまいそうなほどに。

和歌

作者
忌部黒麻呂(生没年未詳)
奈良時代の官人。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1556番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
忌部黒麻呂の歌。

解説

農村の秋の風景を詠んだ歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、322頁(コマ165)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、362頁(コマ187)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日