古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1536番

暮に逢ひて 朝面無み

縁達師(えんだちし)

夕方に逢って朝には面目なくて隠れるという名の隠野の萩は散ってしまった。黄葉よ早く続け。縁達師の歌。

隠野の萩の花が散り、木々が色づきはじめている

題詞緣達師の謌一首

  1. 1暮よひ暮よひよいににに逢あ逢ああひひいててて暮相而
  2. 2朝あした朝あしたあした面おも面おもおも無な無ななみみみ朝面羞
  3. 3隱なばり隱なばりなばり野ぬ野ぬぬののの隱野乃
  4. 4萩はぎ萩はぎはぎははは散ち散ちちりりりにににききき芽子者散去寸
  5. 5黃もみ黃もみもみ葉ぢ葉ぢじはやはやはや續つ續つつげげげ黃葉早續也

引用の仕方

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現代語訳

夕方に逢って、朝には面目なくて隠れるという、その名の隠野の萩は散ってしまった。黄葉よ、早く続いて色づけ。

意訳

「暮に逢ひて朝面無み」の序で、隠れる意の「隠(なばり)」を導き、隠野の萩が散ったので、次は黄葉が早く色づいてほしいと歌っている。

語釈・文法注

文法・本文

面無み
面目なく恥ずかしいので。
隱野
「なばりぬ」。伊賀の名張の野。

和歌

作者
縁達師(生没年未詳)
僧とみられるが、伝はわからない。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1536番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
縁達師の歌。

修辞

序詞
「暮に逢ひて朝面無み」が「隱(なばり)」を導く。

解説

名張は伊賀国の地名で、「隠る」の意をかけて詠まれた。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、319頁(コマ163)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、359頁(コマ185)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日