古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1512番

經もなく 緯も定めず

大津皇子(おおつのみこ)

縦糸もなく横糸も決めずに、少女たちが織った黄葉の錦に、霜よ降らないでおくれ。大津皇子の秋の歌。

秋の山が色とりどりの黄葉に染まり、錦を織りなしたように見える

題詞大津皇子の御歌一首

  1. 1經たて經たてたてもももなくなくなく經毛無
  2. 2緯ぬき緯ぬきぬきももも定さだ定さださだめめめずずず緯毛不定
  3. 3をとめをとめおとめ等ら等ららががが未通女等之
  4. 4織お織おおれれれるるる黃もみ黃もみもみ葉ぢ葉ぢじににに織黃葉爾
  5. 5霜しも霜しもしもななな零ふ零ふふりりりそそそねねね霜莫零

引用の仕方

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現代語訳

縦糸もなく横糸も定めずに、少女たちが織った黄葉の錦に、霜よ降らないでおくれ。

意訳

山の黄葉の色とりどりの美しさを、少女たちが縦糸も横糸もなしに織った錦に見立て、霜が降って色あせないでほしいと願っている。

語釈・文法注

文法・本文

經・緯
「たて」「ぬき」。織物の縦糸と横糸。

和歌

作者
大津皇子(663–686)
天武天皇の皇子。文武にすぐれたが、謀反の罪で自害させられた。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1512番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
状況
大津皇子の秋の歌。

修辞

見立て
黄葉を錦に見立てる。

解説

漢詩にもすぐれた大津皇子らしい、絵画的な見立ての歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、316頁(コマ162)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、356頁(コマ184)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日