古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1511番

夕されば 小倉の山に

舒明天皇(じょめいてんのう)

夕方になると小倉の山で鳴く鹿は、今夜は鳴かない。もう寝てしまったらしい。舒明天皇の秋の歌。

秋の夕暮れの小倉の山が静まりかえり、宮殿の天皇が山を見やっている

題詞岡本天皇の御製の歌一首

  1. 1夕ゆふ夕ゆふゆうされされさればばば暮去者
  2. 2小倉をぐら小倉をぐらおぐらののの山やま山やまやまににに小倉乃山爾
  3. 3鳴な鳴ななくくく鹿しか鹿しかしかははは鳴鹿者
  4. 4今こ今ここ夜よひ夜よひよいははは鳴な鳴ななかかかずずず今夜波不鳴
  5. 5寐い寐いい宿ね宿ねねにににけらしけらしけらしももも寐宿家良思母

引用の仕方

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現代語訳

夕方になるといつも小倉の山で鳴く鹿は、今夜は鳴かない。寝てしまったらしい。

意訳

毎夕妻を呼んで鳴く鹿が今夜は鳴かないのは、妻に逢えて共寝をしているのだろうと、鹿の身を思いやっている。静かな秋の夜の気配を伝える名歌である。

語釈・文法注

文法・本文

寐宿にけらしも
「いねにけらしも」。寝てしまったらしい。

和歌

作者
舒明天皇(593–641)
飛鳥時代の天皇。岡本宮で天下を治めた。天智・天武両天皇の父。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1511番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第1期(629〜672年(舒明天皇の即位〜壬申の乱))
状況
岡本天皇(舒明天皇)の御製。秋雑歌の巻頭の歌。

解説

巻第九の1664番に雄略天皇の歌としてほぼ同じ歌がある。巻第八の秋雑歌はこの歌から始まる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、316頁(コマ162)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、355頁(コマ183)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日