古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1503番

吾妹子が 家の垣内の

紀豊河(きのとよかわ)

いとしい人の家の垣根の内の小百合の花のように、「後で」と言うのは「いや」と言うのに似ている。紀豊河の歌。

恋人の家の垣根の内に白い百合が咲き、門の前で男が返事を待っている

題詞紀朝臣豐河の歌一首

  1. 1吾わぎ吾わぎわぎ妹も妹もも子こ子ここががが吾妹兒之
  2. 2家いへ家いへいえののの垣かき垣かきかき內つ內つつののの家乃垣內乃
  3. 3小さ小ささ百合ゆり百合ゆりゆり花ばな花ばなばな佐由理花
  4. 4後ゆり後ゆりゆりととと云い云いいへへえるるるははは由利登云者
  5. 5不欲いな不欲いないなとととふふふににに似に似ににるるる不欲云二似

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

いとしい人の家の垣根の内の小百合の花の「ゆり」ではないが、「後(ゆり)で」と言うのは、「いや」と言うのに似ている。

意訳

「さゆり」から「ゆり(後で)」を導き、恋人の「また後で」という返事は、結局は断りの言葉と同じだと嘆いている。

語釈・文法注

文法・本文

後
「ゆり」。のちに。
不欲とふ
「いなとふ」。いやだという。

和歌

作者
紀豊河(生没年未詳)
奈良時代の官人。
出典
『万葉集』巻第八・相聞・1503番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
紀豊河の歌。

修辞

序詞
「吾妹子が家の垣内の小百合花」が「ゆり(後)」を導く。

解説

百合の「ゆり」と「後(ゆり)」をかけた、言葉遊びの歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、315頁(コマ161)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、354頁(コマ183)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日