古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1465番

霍公鳥 いたくな鳴きそ

藤原夫人(ふじわらのぶにん)

ほととぎすよ、ひどく鳴かないでおくれ。お前の声を、五月の薬玉にいっしょに貫いて飾るまでは。天武天皇の夫人、藤原夫人の夏の歌。

初夏の宮殿の庭で、女性が薬玉を編みながら、ほととぎすの声に耳を傾けている

題詞藤原夫人の歌一首

  1. 1霍公鳥ほととぎす霍公鳥ほととぎすほととぎす霍公鳥
  2. 2いたくいたくいたくななな鳴な鳴ななきききそそそ痛莫鳴
  3. 3汝な汝ななががが聲こゑ聲こゑこえををを汝音乎
  4. 4五さ五ささ月つき月つきつきののの玉たま玉たまたまににに五月玉爾
  5. 5相あひ相あひあい貫ぬ貫ぬぬくくくまでまでまでににに相貫左右二

引用の仕方

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現代語訳

ほととぎすよ、ひどく鳴かないでおくれ。お前の声を、五月の薬玉にいっしょに貫いて飾るまでは。

意訳

五月の節句には、薬玉に花橘やあやめを貫いて飾った。その薬玉にほととぎすの声も一緒に貫きたいから、それまでは鳴き尽くさずにいてほしいと、鳥の声を惜しんでいる。

語釈・文法注

文法・本文

五月の玉
五月五日の節句に飾る薬玉。

和歌

作者
藤原夫人(生没年未詳)
藤原鎌足の娘、五百重娘。天武天皇の夫人で、新田部皇子の母。大原大刀自ともいう。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1465番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
状況
天武天皇の夫人、藤原夫人の夏の歌。

修辞

見立て
ほととぎすの声を、玉に貫くものに見立てる。

解説

声を玉に貫くという発想は、家持にも受け継がれた。夏雑歌の部はこの歌から始まる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、309頁(コマ158)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、347頁(コマ179)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日