古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1442番

難波邊に 人の行ければ

丹比屋主(たじひのやぬし)

夫が難波の方へ行ってしまったので、後に残って春菜を摘んでいる妻を見るのが悲しい。丹比屋主の歌。

春の野で、ひとり残された若い妻がさびしげに春菜を摘んでいる

題詞大藏少輔丹比屋主眞人の歌一首

  1. 1難波なには難波なにはなにわ邊へ邊へへににに難波邊爾
  2. 2人ひと人ひとひとののの行ゆ行ゆゆけけけれれればばば人之行禮波
  3. 3後おく後おくおくれれれ居ゐ居ゐいててて後居而
  4. 4春はる春はるはる菜な菜なな採つ採つつむむむ兒こ兒ここををを春菜採兒乎
  5. 5見み見みみるるるががが悲かな悲かなかなしさしさしさ見之悲也

引用の仕方

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現代語訳

夫が難波の方へ行ってしまったので、後に残って春菜を摘んでいる妻を見るのが、悲しいことだ。

意訳

夫が難波へ旅立ったあと、ひとり残されて春菜を摘む若い妻の姿を、哀れに思って見ている歌である。

語釈・文法注

文法・本文

後れ居て
後に残って。

和歌

作者
丹比屋主(生没年未詳)
奈良時代の官人。大蔵少輔を務めた。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1442番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
大蔵少輔丹比屋主の春の歌。

解説

春菜摘みの明るい行事の中に、別れの寂しさを見ている。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、306頁(コマ157)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、343頁(コマ177)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日