古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1435番

蝦鳴く 甘南備河に

厚見王(あつみのおおきみ)

かじかの鳴く神奈備川に影を映して、今ごろ咲いているだろうか、山吹の花は。厚見王の春の歌。

かじかの鳴く清流の岸に、山吹の黄色い花が水面に影を映している

題詞厚見王の歌一首

  1. 1蝦かはづ蝦かはづかわず鳴な鳴ななくくく河津鳴
  2. 2甘南備かむなび甘南備かむなびかむなび河がは河がはがわににに甘南備河爾
  3. 3かげかげかげ見み見みみえええててて陰所見而
  4. 4今いま今いまいまかかか咲さ咲ささくくくらむらむらん今香開良武
  5. 5山振やまぶき山振やまぶきやまぶきののの花はな花はなはな山振乃花

引用の仕方

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現代語訳

かじかの鳴く神奈備川に影を映して、今ごろ咲いているだろうか、山吹の花は。

意訳

かじかの声の響く神奈備川のほとりで、山吹の花が水に影を映して咲いているだろうと、遠くの春の景を思いやっている。

語釈・文法注

文法・本文

蝦
「かはづ」。カジカガエル。
山振
「やまぶき」。

和歌

作者
厚見王(生没年未詳)
奈良時代の王族。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1435番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
厚見王の春の歌。

解説

かじかと山吹の取り合わせは、のちの和歌で井手の玉川の景物として定着した。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、305頁(コマ156)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、342頁(コマ177)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日