古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1423番

去年の春 い掘じて植ゑし

阿倍広庭(あべのひろにわ)

去年の春に掘ってきて植えた、わが家の若木の梅は、花が咲いたことだ。阿倍広庭の春の歌。

屋敷の庭の若い梅の木に、白い花がほころんでいる

題詞中納言阿倍廣庭卿の歌一首

  1. 1去年こぞ去年こぞこぞののの春はる春はるはる去年春
  2. 2いいい掘こ掘ここじじじててて植う植ううゑゑえししし伊許自而植之
  3. 3吾わ吾わわががが屋や屋やや外ど外どどののの吾屋外之
  4. 4若わか若わかわか樹き樹ききののの梅うめ梅うめうめははは若樹梅者
  5. 5花はな花はなはな咲さ咲ささきききにににけりけりけり花咲爾家里

引用の仕方

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現代語訳

去年の春に、根から掘り取ってきて植えた、わが家の若木の梅は、花が咲いたことだ。

意訳

去年の春に掘ってきて庭に植えた若い梅が、初めて花を咲かせた。その喜びを素直に詠んでいる。

語釈・文法注

文法・本文

い掘じて
「い」は接頭語。「掘じ」は根ごと掘り取る。

和歌

作者
阿倍広庭(659–732)
奈良時代前期の官人。中納言に至った。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1423番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
中納言阿倍広庭の春の歌。

解説

梅は奈良時代に大陸から伝わった花で、貴族たちが好んで庭に植えた。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、303頁(コマ155)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、340頁(コマ176)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日