万葉集 巻第八 1421〜1422番
春山の さきのををりに
春の山の花のたわわに咲いたあたりで春菜を摘む娘の白い紐を見るのはよいものだ。春が来たらしい、山あいの遠い梢が咲いていくのを見ると。尾張連の春の歌二首。
場面イラスト(準備中)
題詞尾張連の歌二首
現代語訳
〔1421〕春の山の花がたわわに咲いているあたりで、春菜を摘んでいる娘の白い紐を見るのは、よいものだ。
〔1422〕(うち靡く)春がやって来たらしい。山あいの遠い梢が、次々に咲いていくのを見ると。
意訳
1421番は、花の咲き満ちた春の山で春菜を摘む娘の白い紐の美しさを、1422番は、遠い山の梢に花が次々に咲いていくのを見て春の到来を知る喜びを歌っている。
語釈・文法注
文法・本文
- ををり
- 枝がたわむほど花が咲き茂ること。
- うち靡く
- 「春」にかかる枕詞。
和歌
- 作者
- 尾張連(生没年未詳)
名は伝わらない。尾張氏の人。 - 出典
- 『万葉集』巻第八・雑歌・1421〜1422番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 作者未詳(時代を問わない)
- 状況
- 尾張連(名は伝わらない)の春の歌二首。
修辞
- 枕詞
- 1422番の「うち靡く」が「春」にかかる。
解説
春の山と娘の姿を重ねた、明るくのびやかな歌である。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、303頁(コマ155)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、339頁(コマ175)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日