古典ライブラリー

万葉集 巻第六 1034番

古ゆ 人の言ひくる

大伴東人(おおとものあずまひと)

昔から人が言い伝えてきた、老人が若返るという水がこれだ。その名にふさわしい滝の瀬よ。美濃の多芸の行宮で、養老の滝を詠んだ大伴東人の歌。

美濃の山中に白い滝が流れ落ち、行幸の一行がそれを仰いでいる

題詞美濃國多藝の行宮にて大伴宿禰東人の作れる歌一首

  1. 1古いにしへ古いにしへいにしえゆゆゆ從古
  2. 2人ひと人ひとひとののの言い言いいひひいくるくるくる人之言來流
  3. 3老おい老おいおい人びと人びとびとののの老人之
  4. 4變を變をお若つ若つつとととふふふ水みづ水みづみずぞぞぞ變若云水曾
  5. 5名な名ななににに負お負おおふふう瀧たぎ瀧たぎたぎののの瀨せ瀨せせ名爾負瀧之瀨

引用の仕方

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現代語訳

昔から人が言い伝えてきた、老人が若返るという水がこれだ。その名に負う滝の瀬よ。

意訳

美濃の多芸には、元正天皇が行幸して霊泉を賞し、年号を「養老」と改めたという滝があった。東人は、昔から老人を若返らせると言い伝えられてきた水がまさにこれだと、名高い滝をたたえている。

語釈・文法注

文法・本文

變若とふ
「をつ」は若返る。若返るという。

和歌

作者
大伴東人(生没年未詳)
奈良時代の官人。
出典
『万葉集』巻第六・雑歌・1034番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平12年(740)、聖武天皇の行幸に従った大伴東人が、美濃国の多芸の行宮で詠んだ歌。

解説

霊亀3年(717)、元正天皇はこの地の泉を喜び、年号を養老と改めた。いわゆる養老の滝の伝説である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、248頁(コマ128)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、271頁(コマ141)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日