古典ライブラリー

万葉集 巻第六 1015番

玉敷きて 待たましよりは

榎井王(えのいのおおきみ)

玉を敷いて待っているよりも、思いがけずおいでになった今夜のほうが楽しく思われる。1013番の門部王の歌に、後から和した榎井王の歌。

夜の屋敷で、思いがけず訪れた客と主人が灯火のもとで楽しげに語り合っている

題詞榎井王、後に追和せる歌一首

  1. 1玉たま玉たまたま敷し敷ししきききててて玉敷而
  2. 2待ま待ままたたたましましましよりよりよりははは待益欲利者
  3. 3不意たけそか不意たけそかたけそかににに多鷄蘇香仁
  4. 4來き來ききたるたるたる今こ今ここ夜よひ夜よひよいししし來有今夜四
  5. 5樂たぬ樂たぬたぬしくしくしく念おも念おもおもほほおゆゆゆ樂所念

引用の仕方

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現代語訳

玉を敷いて待っていたとしたら、それよりも、思いがけずおいでになった今夜のほうが、楽しく思われる。

意訳

門部王が「知っていたら玉を敷いて待ったのに」と詠んだのに対して、榎井王は、玉を敷いて待つよりも、思いがけず来てくれた今夜のほうがかえって楽しいと、後から歌を添えている。

語釈・文法注

文法・本文

不意に
「たけそかに」は思いがけず。原文は「多鷄蘇香仁」。

和歌

作者
榎井王(生没年未詳)
奈良時代の王族。志貴皇子の子とされる。
出典
『万葉集』巻第六・雑歌・1015番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
1013・1014番の宴の歌に、榎井王が後から和した歌。

解説

「たけそかに」は万葉集でもここだけに見える珍しい語である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、244頁(コマ126)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、267頁(コマ139)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日