万葉集 巻第六 1013〜1014番
あらかじめ 君來まさむと
あなたがおいでになるとあらかじめ知っていたら、門にも庭にも玉を敷きつめておいたのに。門部王の家の宴で、主人と客が詠み交わした歌二首。
場面イラスト(準備中)
題詞九年丁丑春正月、橘少卿并に諸大夫等、彈正尹門部王の家に集ひて宴せる歌二首
現代語訳
〔1013〕あなたがおいでになると前もって知っていたなら、門にも家の庭にも、玉を敷いておいたものを。
〔1014〕おとといも昨日も今日もお会いしたけれども、明日もまたお会いしたいあなたですよ。
意訳
天平9年(737)正月、橘佐為(橘少卿)や諸大夫が門部王の家に集まった宴の歌である。主人の門部王は、来ると知っていたら玉を敷いて迎えたのにと、客を歓迎する。佐為の子の橘文成は、毎日会っていても明日もまた会いたいと、主人への親しみを返している。
語釈・文法注
文法・本文
- 知らませば…敷かましを
- 反実仮想。知っていたら敷いただろうに。
- 前日
- 「をとつひ」はおととい。
- 見まく欲しき
- 見たいと思う。
和歌
- 作者
- 作者未詳
- 出典
- 『万葉集』巻第六・雑歌・1013〜1014番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 天平9年(737)正月、橘少卿(佐為)や諸大夫が、弾正尹の門部王の家に集まって宴をしたときの歌。
修辞
- 列挙
- 1014番の「前日も昨日も今日も」。
解説
宴の主人と客が、もてなしと親しみの言葉を交わす、典型的な宴席の贈答である。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、244頁(コマ126)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、266頁(コマ139)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日