古典ライブラリー

万葉集 巻第六 987番

待ち難に 吾がする月は

藤原八束(ふじわらのやつか)

私が待ちかねている月は、妻がかぶる笠の名の三笠の山に隠れていたのだ。藤原八束の月の歌。

三笠山の稜線から、ようやく月が顔を出しはじめている

題詞藤原八束朝臣の月の歌一首

  1. 1待ま待ままちちち難がて難がてがてににに待難爾
  2. 2吾わ吾わわがががするするする月つき月つきつきははは余爲月者
  3. 3妹いも妹いもいもががが著け著けけるるる妹之著
  4. 4三み三みみ笠かさ笠かさかさののの山やま山やまやまににに三笠山爾
  5. 5隱こも隱こもこもりりりてててありありありけりけりけり隱而有來

引用の仕方

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現代語訳

私が待ちかねている月は、(妹が著る)三笠の山に隠れていたのだなあ。

意訳

なかなか出てこない月を待っていたが、三笠の山に隠れていたのだと気づく。「妹が著る」は笠をかぶる意で三笠を導き、恋人の面影もにじませている。

語釈・文法注

文法・本文

妹が著る
妻がかぶる笠から「三笠」にかかる。

和歌

作者
藤原八束(715–766)
藤原房前の子で、のちに真楯と名を改めた。大伴家持と親しかった。
出典
『万葉集』巻第六・雑歌・987番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
藤原八束の月の歌。

修辞

枕詞
「妹が著る」が「三笠」にかかる。

解説

980〜987番は月を題にした歌が続き、宴などで月を題にして詠み合ったものとみられる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、239頁(コマ123)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、261頁(コマ136)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日