古典ライブラリー

万葉集 巻第六 980番

雨隱り 三笠の山を

安倍虫麻呂(あべのむしまろ)

三笠の山が高いからだろうか、月がなかなか出てこない。夜はふけていくのに。月の出を待つ安倍虫麻呂の歌。

夜ふけの三笠山の稜線がほのかに明るみ、月の出を待つ男が縁側に座っている

題詞安倍朝臣蟲麿の月の歌一首

  1. 1雨あま雨あまあま隱ごも隱ごもごもりりり雨隱
  2. 2三み三みみ笠かさ笠かさかさののの山やま山やまやまををを三笠乃山乎
  3. 3高たか高たかたかみみみかもかもかも高御香裳
  4. 4月つき月つきつきののの出い出いいででで來こ來ここぬぬぬ月乃不出來
  5. 5夜よ夜よよははは更くた更くたくたちちちつつつつつつ夜者更降管

引用の仕方

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現代語訳

(雨隠り)三笠の山が高いからだろうか、月が出て来ない。夜はふけていくのに。

意訳

三笠山の向こうから出るはずの月が、なかなか姿を見せない。山が高いせいだろうかと、夜がふけていく中で月の出を待ちわびている。

語釈・文法注

文法・本文

雨隱り
雨を避けるのに笠をかぶることから、「三笠」にかかる枕詞。
更ちつつ
「くたつ」は夜がふける。

和歌

作者
安倍虫麻呂(?–752)
奈良時代の官人。坂上郎女の従兄にあたる。
出典
『万葉集』巻第六・雑歌・980番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
安倍虫麻呂の月の歌。

修辞

枕詞
「雨隱り」が「三笠」にかかる。

解説

続く坂上郎女の月の歌(981〜983番)とともに、月の出を題にした歌が並べられている。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、238頁(コマ123)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、260頁(コマ136)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日