古典ライブラリー

万葉集 巻第四 769番

ひさかたの 雨の降る日を

大伴家持(おおとものやかもち)

雨の降る日に、ただひとり山辺にいると、心がふさいでしまった。紀女郎に答えた家持の歌。

雨の降りしきる山辺の宿舎で、若い貴公子がひとりぼんやりと外を眺めている

題詞大伴宿禰家持、紀女郎に報へ贈れる歌一首

  1. 1ひさかたひさかたひさかたののの久堅之
  2. 2雨あめ雨あめあめののの降ふ降ふふるるる日ひ日ひひををを雨之落日乎
  3. 3ただただただ獨ひとり獨ひとりひとり直獨
  4. 4山やま山やまやま邊べ邊べべににに居を居をおれれればばば山邊爾居者
  5. 5欝いぶ欝いぶいぶせせせかりかりかりけりけりけり欝有來

引用の仕方

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現代語訳

(ひさかたの)雨の降る日を、ただひとりで山辺にいると、心がふさいでしまうことだ。

意訳

久邇京は山に囲まれた土地であった。雨の降る日に、山辺でひとり過ごす家持は、晴れない心を紀女郎に打ち明けている。

語釈・文法注

文法・本文

欝せかりけり
「いぶせし」は心が晴れない。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守などを務め、のちに中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残し、その編纂に深くかかわったとされる。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・769番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴家持が紀女郎に答えて贈った歌。

解説

久邇京での単身生活のさびしさがうかがえる歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、181頁(コマ94)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、193頁(コマ102)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日