古典ライブラリー

万葉集 巻第四 767〜768番

都路を 遠みや妹が

大伴家持(おおとものやかもち)

都への道が遠いからか、このごろは神に祈って寝ても、妻が夢に見えてこない。今の都の久邇京で、妻に逢わずに久しくなった、早く行って逢いたい。家持が大嬢に贈った歌二首。

久邇京の宿舎で、若い貴公子が祈りの幣を枕元に置いて眠ろうとしている

題詞大伴宿禰家持、更に大孃に贈れる歌二首

  1. 1都みやこ都みやこみやこ路ぢ路ぢじををを都路乎767
  2. 2遠とほ遠とほとおみみみややや妹いも妹いもいもががが遠哉妹之
  3. 3此この此このこの頃ごろ頃ごろごろははは比來者
  4. 4祈うけ祈うけうけ誓ひ誓ひひててて宿ぬ宿ぬぬれれれどどど得飼飯而雖宿
  5. 5夢いめ夢いめいめににに見み見みみえええこここぬぬぬ夢爾不所見來
  6. 6今いま今いまいましらすしらすしらす今所知768
  7. 7久邇くに久邇くにくにののの京みやこ京みやこみやこににに久邇乃京爾
  8. 8妹いも妹いもいもににに逢あ逢ああははわずずず妹二不相
  9. 9久ひさ久ひさひさしくしくしくなりなりなりぬぬぬ久成
  10. 10行ゆ行ゆゆきききてててはやはやはや見み見みみななな行而早見奈

引用の仕方

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現代語訳

〔767〕都への道が遠いからか、このごろは、祈誓して寝ても、妻は夢に見えてこない。

〔768〕今天皇がお治めになる久邇の都で、妻に逢わずに久しくなってしまった。行って早く逢いたい。

意訳

久邇京にいる家持は、奈良に残した妻の大嬢に逢えない日々を嘆く。神に祈って寝ても夢にさえ見えないのは道が遠いからかと嘆き、早く帰って妻に逢いたいと歌っている。

語釈・文法注

文法・本文

祈誓ひ
「うけひ」は神に誓いを立てて祈ること。
今しらす
今お治めになっている。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守などを務め、のちに中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残し、その編纂に深くかかわったとされる。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・767〜768番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴家持が、さらに坂上大嬢に贈った歌二首。

解説

原文の「得飼飯」は「うけひ」と読ませる戯書である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、181頁(コマ94)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、193頁(コマ102)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日