古典ライブラリー

万葉集 巻第四 722番

斯くばかり 戀ひつつあらずは

大伴家持(おおとものやかもち)

こんなに恋い続けているくらいなら、いっそ石や木にでもなってしまえばよかった。物思いもせずにすむように。大伴家持の歌。

庭の大きな石と木を、若い貴公子がうらやましそうに見つめている

題詞大伴宿禰家持の歌一首

  1. 1斯か斯かかくくくばかりばかりばかり如是許
  2. 2戀こ戀ここひひいつつつつつつあらあらあらずずずははは戀乍不有者
  3. 3石いは石いはいわ木き木ききにににももも石木二毛
  4. 4ならならならましましましものものものををを成益物乎
  5. 5物もの物ものもの思おも思おもおもははわずずずしししててて物不思四手

引用の仕方

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現代語訳

こんなにも恋い続けているくらいなら、いっそ石や木にでもなってしまえばよかったのに。物思いもせずに。

意訳

恋の苦しさに耐えかねて、心を持たない石や木になってしまいたいと願う歌である。

語釈・文法注

文法・本文

戀ひつつあらずは
恋し続けているよりは。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守などを務め、のちに中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残し、その編纂に深くかかわったとされる。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・722番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴家持の歌。

解説

恋の苦しみから逃れるために非情の物になりたいという発想は、万葉集の恋歌にしばしば見られる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、177頁(コマ92)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、187頁(コマ99)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日