古典ライブラリー

万葉集 巻第四 705〜706番

葉根蘰 今爲る妹を

大伴家持(おおとものやかもち)

はね蘰を今つけたばかりの少女を夢に見て、心の中で恋い続けている。はね蘰をつける少女などいないのに、どの少女をそんなに恋しがっているのかしら。家持と童女の戯れの贈答。

花の髪飾りをつけた少女が、文を手に、いたずらっぽくほほえんでいる

題詞大伴宿禰家持、童女に贈れる歌一首/童女の來報ふる歌一首

  1. 1葉は葉はは根ね根ねね蘰かづら蘰かづらかずら葉根蘰705 家持
  2. 2今いま今いまいま爲す爲すするるる妹いも妹いもいもををを今爲妹乎
  3. 3夢いめ夢いめいめににに見み見みみててて夢見而
  4. 4情こころ情こころこころのののうちうちうちににに情内二
  5. 5戀こ戀ここひひいわたるわたるわたるかもかもかも戀渡鴨
  6. 6葉は葉はは根ね根ねね蘰かづら蘰かづらかずら葉根蘰706 童女
  7. 7今いま今いまいま爲す爲すするるる妹いも妹いもいもははは今爲妹者
  8. 8無な無ななかりかりかりしをしをしを無四乎
  9. 9何いづれ何いづれいずれののの妹いも妹いもいもぞぞぞ何妹其
  10. 10幾許ここだ幾許ここだここだ戀こ戀ここひひいたるたるたる幾許戀多類

引用の仕方

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現代語訳

〔705〕はね蘰を今つけたばかりの少女を夢に見て、心の中で恋い続けていることだ。

〔706〕はね蘰を今つけたばかりの少女なんて、いないはずなのに。どの少女をそんなにも恋しがっていらっしゃるの。

意訳

はね蘰は、少女が成人に近づいたしるしにつける髪飾りとされる。家持がはね蘰をつけたばかりの少女を夢に見て恋しく思うと歌うと、童女は、そんな少女はいないはずなのに、いったい誰に恋しているのですかと、とぼけて切り返している。

語釈・文法注

文法・本文

葉根蘰
「はねかづら」は少女の髪飾り。成年に達したしるしとされる。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守などを務め、のちに中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残し、その編纂に深くかかわったとされる。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・705〜706番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴家持が童女に贈った歌と、童女が答えた歌。

解説

年若い少女とのほほえましいやりとりである。童女の機転のきいた答えが印象的である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、175頁(コマ91)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、185頁(コマ98)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日