古典ライブラリー

万葉集 巻第四 669番

あしひきの 山橘の

春日王(かすがのおおきみ)

山橘の実の赤い色のように、思いを顔に出しなさい。言葉を交わし続けていれば、逢うこともあるでしょう。春日王の歌。

冬の山道に、赤い実をつけた藪柑子が雪の中に鮮やかに見えている

題詞春日王の歌一首

  1. 1あしひきあしひきあしひきののの足引之
  2. 2山やま山やまやま橘たちばな橘たちばなたちばなののの山橘乃
  3. 3色いろ色いろいろににに出い出いいでででよよよ色丹出與
  4. 4語かた語かたかたらひらひらい繼つ繼つつぎぎぎててて語言繼而
  5. 5逢あ逢ああふふうことことこともももあらあらあらむむん相事毛將有

引用の仕方

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現代語訳

(あしひきの)山橘の実の色のように、思いを表に出しなさい。語り合い続けていれば、逢うこともあるでしょう。

意訳

山橘(ヤブコウジ)の赤い実のように、秘めた思いをはっきり表しなさい、そうすれば言葉を交わし続けて、いつかは逢えるだろうと励ます歌である。

語釈・文法注

文法・本文

山橘
ヤブコウジ。冬に赤い実をつける。

和歌

作者
春日王(?–745)
奈良時代前半の皇族。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・669番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
春日王の歌。

修辞

序詞
「あしひきの山橘の」が「色に出でよ」を導く。

解説

思いを表に出すことを勧める珍しい恋の歌で、秘めた恋を歌う多くの歌とは対照的である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、170頁(コマ89)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、181頁(コマ96)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日