万葉集 巻第三 243番
王は 千歳にまさむ
わが君は千年も生きておいでになるでしょう。三船の山にかかる白雲が絶える日がありましょうか。弓削皇子の歌に、春日王が励ましを込めて答えた歌。
場面イラスト(準備中)
題詞春日王の和へ奉れる歌一首
現代語訳
わが君は千年も長生きなさるでしょう。白雲も、三船の山に絶える日がありましょうか。
意訳
弓削皇子が、山の雲のようにいつまでも生きていられるとは思わないと嘆いたのに対し、春日王は、三船の山の白雲が絶えることがないように、皇子も千年の命を保たれるでしょうと答える。皇子の嘆きを、同じ雲を使って祝いの言葉に変えている。
語釈・文法注
文法・本文
- 絶ゆる日あらめや
- 「めや」は反語。絶える日があろうか、ありはしない。
和歌
- 作者
- 春日王(?–745)
奈良時代前半の皇族。志貴皇子の子とする説がある。 - 出典
- 『万葉集』巻第三・雑歌・243番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
- 状況
- 242番の弓削皇子の歌に、春日王がお答えした歌。
解説
242番の「居る雲の常に」を受けて、雲が絶えないことを皇子の長寿の保証にしている。贈られた歌の言葉を用いて答える、和歌の贈答の型をよく示す一首である。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、92頁(コマ50)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、91頁(コマ51)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日