古典ライブラリー

万葉集 巻第四 630番

初花の

佐伯赤麻呂(さえきのあかまろ)

咲いたばかりの花のように、散ってしまうはずのものなのに、人のうわさがうるさいので、逢うのを控えているころなのか。佐伯赤麻呂の歌。

咲いたばかりの花の枝を前に、男がためらうように立ちつくしている

題詞佐伯宿禰赤麻呂の歌一首

  1. 1初はつ初はつはつ花はな花はなはなののの初花之
  2. 2散ち散ちちるるるべきべきべきものものものををを可散物乎
  3. 3人ひと人ひとひと言ごと言ごとごとののの人事乃
  4. 4繁しげ繁しげしげきききににによりよりよりててて繁爾因而
  5. 5止よど止よどよど息む息むむ頃ころ頃ころころかもかもかも止息比者鴨

引用の仕方

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現代語訳

咲いたばかりの花のように、やがては散るはずのものを、人のうわさがうるさいので、逢うのを控えているころなのだろうか。

意訳

初花のように若い娘は、いずれは誰かのものになるはずなのに、人のうわさが多いので、今は逢うのを控えているのだろうかと、赤麻呂は娘の心をはかりかねている。

語釈・文法注

文法・本文

止息む
「よどむ」はためらう、とどこおる。

和歌

作者
佐伯赤麻呂(生没年未詳)
伝未詳。巻第三の404〜406番で娘子と歌を交わした人物。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・630番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
佐伯赤麻呂の歌。

修辞

比喩
初花に若い娘をたとえる。

解説

627・628番の娘子との贈答の続きとみる説もある。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、166頁(コマ87)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、175頁(コマ93)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日