古典ライブラリー

万葉集 巻第四 627〜628番

吾が袂 纏かむと念はむ

佐伯赤麻呂(さえきのあかまろ)

私の腕を枕にしようと思う男は、若返りの水を探しなさい、白髪が生えていますよ。白髪が生えたことなど気にしない、若返りの水はあちこち探して行こう。娘子と佐伯赤麻呂の戯れの贈答。

泉のほとりで、白髪まじりの男が水をすくおうとし、それを若い女性がからかうように見ている

題詞娘子、佐伯宿禰赤麻呂に報へ贈れる歌一首/佐伯宿禰赤麻呂の和ふる歌一首

  1. 1吾わ吾わわががが袂たもと袂たもとたもと吾手本627 娘子
  2. 2纏ま纏ままかかかむむんととと念おも念おもおもははわむむん將卷跡念牟
  3. 3丈ます丈ますます夫らを夫らをらおははは大夫者
  4. 4變をち變をちおち水みづ水みづみず求もと求もともとめめめ變水求
  5. 5白しら白しらしら髮が髮がが生お生おおひひいにににたりたりたり白髮生二有
  6. 6白しら白しらしら髮が髮がが生お生おおふるふるうる白髮生流628 赤麻呂
  7. 7事こと事ことことははは念おも念おもおもははわじじじ事者不念
  8. 8變をち變をちおち水みづ水みづみずははは變水者
  9. 9彼か彼かかにににももも此かく此かくかくにににももも鹿煮藻闕二毛
  10. 10求もと求もともとめめめててて行ゆ行ゆゆかかかむむん求而將行

引用の仕方

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現代語訳

〔627〕私の腕を枕にしようと思っているますらおは、若返りの水を探しなさい。白髪が生えていますよ。

〔628〕白髪の生えることなど気にはしない。若返りの水は、あちらこちらと探していこう。

意訳

年配の佐伯赤麻呂に、娘子は、私と寝たいなら若返りの水でも探していらっしゃい、白髪が生えていますよと、からかう。赤麻呂は、白髪など気にしない、若返りの水ならどこへでも探しに行こうと、めげずに答えている。

語釈・文法注

文法・本文

變水
「をちみづ」は飲むと若返るという水。

和歌

作者
佐伯赤麻呂(生没年未詳)
伝未詳。巻第三の404〜406番で娘子と歌を交わした人物。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・627〜628番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
娘子が佐伯赤麻呂に答えて贈った歌と、赤麻呂の答えの歌。

解説

月の神が持つという若返りの水(変若水)の信仰をふまえた、ユーモアあふれる贈答である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、165頁(コマ86)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、175頁(コマ93)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日