古典ライブラリー

万葉集 巻第四 626番

君に因り

八代女王(やしろのおおきみ)

あなたのせいで人のうわさがうるさいので、故郷の明日香川へ禊をしに行きます。聖武天皇に献じた八代女王の歌。

明日香川の浅瀬で、若い女王が袖をまくって水で身を清めている

題詞八代女王、天皇に獻れる歌一首

  1. 1君きみ君きみきみににに因よ因よよりりり君爾因
  2. 2言こと言ことことののの繁しげ繁しげしげきききををを言之繁乎
  3. 3古ふる古ふるふる郷さと郷さとさとののの古鄕之
  4. 4明日香あすか明日香あすかあすかののの河かは河かはかはににに明日香乃河爾
  5. 5禊みそぎ禊みそぎみそぎしししににに行ゆ行ゆゆくくく潔身爲爾去

引用の仕方

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現代語訳

あなたのせいで人のうわさがうるさいので、故郷の明日香川に、禊をしに行きます。

意訳

天皇との仲が人のうわさになり、八代女王は、そのけがれを清めるために、故郷の明日香川へ禊をしに行くと歌う。うわさを恐れながらも、天皇への思いを捨てきれない心が感じられる。

語釈・文法注

文法・本文

禊
水で身を清め、罪やけがれをはらうこと。

和歌

作者
八代女王(生没年未詳)
聖武天皇に仕えた女王。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・626番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
八代女王が天皇(聖武天皇)に献じた歌。

解説

禊によって恋の苦しみやうわさをはらおうとする発想は、伊勢物語第65段などにも見える。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、165頁(コマ86)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、174頁(コマ93)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日